結婚・離婚に伴う改名は、民法・戸籍法の最も複雑な交錯領域の一つです。本記事では、(1) 民法 750 条「夫婦同氏」原則、(2) 戸籍法 77 条の 2「婚氏続称」(離婚後 3 ヶ月以内)、(3) 名の変更と姓の変更の違い、(4) 子の戸籍と氏の関係(民法 791 条)、を体系的に整理します。婚姻時の戸籍編製・離婚時の戸籍復帰・新戸籍編製、子の氏変更、再婚時の氏選択など、家族法と戸籍法が複雑に絡む領域を実務目線で解きほぐした実用ガイドです。
現状把握 ── 結婚・離婚と氏名の関係
婚姻時には民法 750 条により「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」とされ、夫婦の一方が氏を変更します。統計(厚生労働省人口動態統計)では夫の氏を選ぶケースが約 95%、妻の氏を選ぶケースが約 5% で、選択的夫婦別氏制度(夫婦別姓)は 2026 年現在も実現していません。
離婚時には戸籍法 77 条の 2 により、婚姻で氏を変更した側は「離婚の日から 3 月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、離婚の際に称していた氏を称することができる」(婚氏続称)── つまり、3 ヶ月以内であれば旧姓に戻すか婚姻時の氏を継続するかを選択できます。
改名(名の変更)と改姓(氏の変更)は別手続です。婚姻・離婚に伴う氏の変更は戸籍法上の届出のみで自動的に処理されますが、名の変更は別途家庭裁判所の許可(戸籍法 107 条の 2)が必要です。両者を同時に変更する場合は、家裁手続と戸籍届出の両方が必要となります。
法的根拠 ── 民法と戸籍法の交錯
婚姻時の氏変更の法的根拠は民法 750 条(夫婦同氏)と戸籍法 16 条(婚姻による戸籍編製)です。婚姻届の段階で氏を選択し、新戸籍が編製されます。氏を変更した側は新戸籍に新しい氏で記載されます。
離婚時の氏選択の根拠は民法 767 条(離婚による復氏)と戸籍法 19 条(離婚による戸籍復帰)・77 条の 2(婚氏続称)です。原則として婚姻前の戸籍に復帰しますが、新戸籍編製を選択することも可能です。3 ヶ月以内であれば婚氏続称届で婚姻時の氏を維持できます。
子の氏は民法 790 条「嫡出である子は、父母の氏を称する」が原則です。離婚により親の氏が変わった場合、子は親と同氏でなくなることがあります。この場合は民法 791 条により家庭裁判所の許可を得て子の氏を変更できます(「子の氏の変更許可」)。
実務手順 ── ケース別の戸籍手続
ケース 1:婚姻時に氏と名を同時変更したい場合 ── 婚姻届で氏を変更し、別途家裁に名の変更許可申立。婚姻届と家裁申立は時系列を分けて処理します(婚姻届は即日、家裁審判は 2〜6 ヶ月)。
ケース 2:離婚時に旧姓に戻したい場合 ── 離婚届のみで自動的に旧姓・旧戸籍に復帰します。戸籍は元の親の戸籍に戻るか、新戸籍を編製するかを選択(離婚届の選択欄)。
ケース 3:離婚後も婚氏を続称したい場合 ── 離婚から 3 ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を本籍地の市区町村に提出。これで婚氏のまま新戸籍が編製されます。
ケース 4:離婚後に婚氏続称を選択したが、後で旧姓に戻したい場合 ── 婚氏続称後、再度旧姓に戻すには戸籍法 107 条 1 項の家裁許可が必要。「やむを得ない事由」が要件で認容ハードルが高くなります。
ケース 5:子の氏を親と一致させたい場合 ── 民法 791 条により家裁の「子の氏の変更許可」申立。15 歳未満は親権者申立、15 歳以上は本人申立。家裁は子の福祉を最優先に判断します。
- 婚姻時氏変更民法 750 条+戸籍法 16 条。婚姻届のみで自動処理。
- 離婚時旧姓復帰民法 767 条+戸籍法 19 条。離婚届で自動処理。
- 婚氏続称戸籍法 77 条の 2。離婚後 3 ヶ月以内届出。
- 子の氏の変更民法 791 条。家裁許可必要。子の福祉優先。
- 名の変更戸籍法 107 条の 2。家裁許可必要。氏とは別手続。
費用 ── 結婚・離婚に伴う改名コスト
婚姻届・離婚届・婚氏続称届はいずれも戸籍法上の届出のみで無料です。市区町村役場で記入・提出するだけで済みます。
名の変更を伴う場合は家裁手続が必要で、印紙代 800 円+戸籍謄本 450 円+郵便切手 500〜1,500 円+郵送費・交通費数千円で合計 2,000〜5,000 円。専門家依頼は 5〜30 万円(詳細は kaimei-cost)。
子の氏の変更(民法 791 条)も家裁許可が必要で、印紙代 800 円+戸籍謄本+郵便切手で 2,000〜5,000 円程度です。
タイミング ── 結婚・離婚時の改名最適化
結婚時の改名最適化戦略 ── 婚姻による氏変更と名の変更を同時に進めると、戸籍編製が一回で済み手続効率が良いです。婚姻届提出と家裁名の変更申立を並行で進め、家裁認容後の届出時に新戸籍に新姓名で記載されます。
離婚時の改名最適化戦略 ── 婚氏続称か旧姓復帰かの選択を 3 ヶ月以内に決定する必要があります。3 ヶ月期限を過ぎると後の変更が極めて難しくなるため、離婚届提出時から計画的に検討してください。
再婚時の氏選択 ── 再婚時に再度民法 750 条が適用され、夫婦の氏を選択します。再婚相手の氏を選ぶか、婚氏続称中の氏を維持するか、婚姻前の氏に戻すか、複雑な選択が発生します。子がいる場合は子の氏との整合性も検討が必要です。
チェックリスト ── 結婚・離婚時の改名検討事項
結婚・離婚に伴う改名検討時のチェックリスト。
結婚時 ── (1) 夫婦どちらの氏を選ぶか合意した/(2) 仕事上の通称使用を継続するか決定した/(3) 名の変更を同時に行うか検討した/(4) 子供の予定と氏の整合性を考えた/(5) 旧姓使用の社会的慣行を確認した。
離婚時 ── (1) 婚氏続称か旧姓復帰かを 3 ヶ月以内に決定した/(2) 子の氏をどうするか家裁許可申立を検討した/(3) 戸籍を親の戸籍に戻すか新戸籍編製するか選んだ/(4) 仕事上の名義(職業継続性)を考慮した/(5) 子の精神的負担(学校での名前変化等)を最小化した。
再婚時 ── (1) 再婚相手の氏との関係/(2) 子の氏との整合性/(3) 婚氏続称中の氏の処理/(4) 過去の戸籍履歴の影響/(5) 再婚後の戸籍編製選択。
編集部としては、結婚・離婚に伴う改名検討において「3 ヶ月の期限を意識した計画性」が決定的に重要だと考えます。特に離婚時の婚氏続称(戸籍法 77 条の 2、3 ヶ月以内)は、期限を過ぎると後の変更が家裁許可案件となり認容ハードルが大幅に上がります。子がいる場合は子の福祉を最優先に氏の整合性を考え、民法 791 条の手続も併せ検討してください。本サイトでは、婚姻・離婚に際しては姓名判断による運勢評価より先に、家族法・戸籍法の構造を理解した上で「子の福祉」「自己同一性」「実務効率」のバランスをとることを推奨します。占術的判断は法的選択の補助として活用するのが現実的です。

全世界の姓名判断や鑑定、占いを統合し、その英知を42年間学び続けた占い師。伝統的な熊崎式姓名判断に中国・韓国・台湾など東アジアの命名哲学、さらには西洋の数秘術までを横断的に研究。姓名判断大全の全記事を監修し、赤ちゃんの命名から改名・社名決定まで、実務的な指針の提供を使命としている。
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