◆ 元の意味(古代)
手が思うように出ぬ、不器用
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KANJI ETYMOLOGY
setsu
画数
8画
成り立ち
形声
部首
扌(てへん)
分類
常用漢字
出(シュツ)を声符とし、手の動きが思うように出ない、不器用の意を示す。
ORIGIN
『說文解字』手部に「拙は不巧なり。手に从ひ出聲」と記される。許慎は「巧(コウ)」と対極に置き、技巧に乏しい・思うように手が出ないさまを本義とした。藤堂明保『漢字源』は声系 thiuat/thiut に属させ、「外へ出ようとして詰まる」「滑らかに進まない」共通義を持つ語族と関連づけ、思うままに発動できぬ不器用の意義を論ずる。白川静『字統』は「出」を足が穴から出る象形とし、本来は前進の意なのに、声符として用いられた「拙」では「出ようとして出きらぬ」逆転的な象意が読まれると説く。古典では『老子』第四十五章「大巧若拙」、『荘子』庚桑楚の「拙於用大」、『論語』の引用に見える「拙誠」など、儒道両家でしばしば「巧」と対をなす重要語として用いられた。中国文人の自称・謙称として「拙者」「拙著」「拙宅」が定着し、日本でも武家言葉「拙者」、書簡語「拙稿」「拙論」として広く根付いた。本義は「下手」だが、東洋思想では「巧みすぎぬ素朴さ」「飾らぬ誠実さ」を尊ぶ徳目に転じ、茶道・禅・俳諧では「拙」を理想美の一つに置く。命名にはほぼ用いられぬが、書号・雅号として「拙翁」「守拙」のように、技を誇らず素直に在る境地を表す字として尊ばれる。
構成要素
扌(手の動作)+出(声符・出ようとして詰まる象意)
STROKE ORDER
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MEANINGS
手が思うように出ぬ、不器用
つたない・下手・謙遜の語
雅号で「守拙」のように、飾らぬ誠実さ・素朴な徳を表す。
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※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。