◆ 元の意味(古代)
乳を含ませる女性、子を産み育てる人
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
bo
画数
5画
成り立ち
象形
部首
毋(なかれ)
分類
常用漢字
母は乳房を強調した女性の象形。子を産み育てる母性の根源字。
ORIGIN
『説文解字』女部に「母は牧なり、女に从ひ两に象り、子を懷くるの形なり」とあり、女性が子を抱き乳を含ませる姿、特に二つの乳房を強調した象形字と説く。甲骨文・金文では明瞭に、跪坐する女性の胸に二つの点(乳首)が打たれた形で記され、「女」字と区別される。すなわち母とは、女性一般を指す「女」に対し、乳を含ませて子を養育する機能と立場を持つ女性を特定して指す字であり、生物学的母性ではなく、授乳と育児という社会的役割を文字化した点に重要な意義がある。白川静『字統』は、毋(なかれ)が母から派生した禁止辞であり、母の胸に一線を引いて「触れてはならない」「侵してはならない」聖なる存在としたことから禁止の意が生まれたとする。母の聖性が言語の根幹にまで及んでいるのである。藤堂明保『漢字源』は同源語に「牡(おす)」と対をなす「牝(めす)」、さらに「拇(おやゆび・最も大きく要となる指)」「畝(うね・盛り上がった畑)」を挙げ、BO/MU系の音には「ふっくらと膨らみ多くを生み出す」「源となる」という共通イメージがあるとする。古典『詩経』『書経』では母を讃える詩文が多く、『論語』『孟子』でも孝道の中心に母への敬愛が置かれる。日本でも『万葉集』以来「はは」「おも」と訓じて深い情愛が詠まれ、「母性」「母校」「母国」「母体」「酵母」「字母」のように、生み出すもの・根本となるものを比喩的に示す語としても広く展開した。命名では女性に「はは」とは付けないが、「も」と読んで「ともみ」「もか」など二字目に組み込む例、また熟語的に「母」字を含む雅号などに用いられる。
構成要素
女性が子を抱き乳房を露わにした象形
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
乳を含ませる女性、子を産み育てる人
はは、母親、生み出す根源、もと
深い愛情で全てを包み込み育む人。生命と物事の源となり、家族や仲間に揺るぎない安心を与える、慈しみ豊かな人物となるよう願う字。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。