◆ 元の意味(古代)
もともとは「立ち去りがたく心を残す」「惜しむ」という消極的な情を意味した。離別を惜しむ・もったいなく思うといった、心が後ろに引かれる感覚が本義であり、対象を大切にして手放したくない気持ちを表していた。
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KANJI ETYMOLOGY
Ai
画数
13画
成り立ち
形声
部首
心部
分類
常用漢字
「愛」は、後ろを振り返りながらゆっくりと歩み去る人の姿に「心」を加えた字で、立ち去りがたく惜しむ気持ちが本義。そこから慈しみ・大切に思う心を表すようになった。
ORIGIN
「愛」の篆文は上部に「旡(き)」、中央に「心」、下部に「夂(ち)」を組み合わせた構造をもつ。「旡」は人が後ろを振り向く姿を象り、「夂」は足をひきずってゆっくり歩く意を示す。これに「心」を加えて、心が後ろに引かれて立ち去りがたいさま、つまり「惜しむ・離れがたい」気持ちを表したのが原義である。甲骨文字には確認されず金文期から見られ、篆文を経て隷書・楷書では上下が整えられ現在の字形に定着した。許慎『説文解字』は「行貌なり」とし歩く姿を強調するが、白川静『字統』は心の働きに重きを置いて、後ろ髪を引かれる情を本義とする。藤堂明保『漢字源』は「旡」を声符とみる形声説を採り、後世に「いつくしむ・愛する」という積極的意味へと拡大したと説く。
構成要素
上部「爫(つめがしら)」と「冖」は本来「旡」が変形したもので、後ろを振り返る人の姿を示す。中央の「心」は心臓を象った象形で感情・思考を表す部首。下部「夂(すいにょう)」は足を引きずって歩く意。三者が合わさり「心が引かれゆっくり歩み去る」という構造をなす。
STROKE ORDER
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MEANINGS
もともとは「立ち去りがたく心を残す」「惜しむ」という消極的な情を意味した。離別を惜しむ・もったいなく思うといった、心が後ろに引かれる感覚が本義であり、対象を大切にして手放したくない気持ちを表していた。
現代では「愛する」「慈しむ」「いつくしみ」「好む」など、対象を大切に思い積極的に関わる心情全般を指す。家族愛・恋愛・友愛・郷土愛など幅広い愛情を表し、英語の love の訳語としても定着している。
人を慈しむ豊かな心、深い情愛、誰からも愛される人柄への願いを込めて用いられる。男女問わず人気があり、特に女児名では「愛らしさ」「優しさ」を、男児名では「人を大切にする器の大きさ」を象徴する一字として広く用いられる。
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本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。