◆ 元の意味(古代)
林を焼いて狩りをする、火で焼く。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
fun
画数
12画
成り立ち
会意
部首
ひ
分類
—
林を焼く猟法を写した古代の字——焚書坑儒の歴史を伴う。
ORIGIN
「焚」は林と火を組み合わせた会意文字であり、林に火を放って獣を狩り出す古代の狩猟法、すなわち焼狩(やきがり)を表す字である。許慎の『説文解字』には「焚、燒田也。从火、棥」とあり(注:従来の伝本では「从火、林」とする)、田野を焼く意とされる。古代中国では春から夏にかけて野焼きを行い、新たな耕地を確保すると同時に獣を追い出して捕える「火田」の風習が広く行われており、「焚」はその情景を写した字である。白川静の『字統』では、甲骨文・金文の字形が林と火からなり、林野を焼く呪儀的な意味も含むとし、単なる農耕的行為ではなく、神に祈り山林を浄める祭祀的行為としての側面を強調する。とりわけ干ばつのときに林を焼いて雨を乞う「焚巫」の儀礼があったことを指摘し、字の宗教的背景を浮き彫りにする。藤堂明保の『漢字源』では、「焚」の核義を「火で焼き尽くす」とし、「焚書」(書物を焼く)「焚香」(香を焚く)など多様な熟語を挙げ、転じて激しく燃え立つ感情、たとえば「焦心焚慮」のような心情語にも用いられたと述べる。秦の始皇帝による「焚書坑儒」の故事はあまりに有名で、字に重い歴史的記憶を刻んでいる。命名にはほとんど用いられない忌避字である。
構成要素
林+火
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
林を焼いて狩りをする、火で焼く。
やく、たく、燃やす。
★命名忌避字。激しく焼き尽くす意を含み、人名としては避けられる。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。