◆ 元の意味(古代)
火と煙から生じる黒い微粒。
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KANJI ETYMOLOGY
bai
画数
13画
成り立ち
形声
部首
ひへん
分類
—
火が生むすす——古来の墨と冬の風物を象る字。
ORIGIN
「煤」は火を意符、「某(ボウ/バイ)」を声符とする形声文字であり、燃焼によって生じる黒い微粒、すなわちすすを表す字である。許慎の『説文解字』には「煤」字は本来採録されておらず、後代の字書において加えられたと考えられるが、『玉篇』など中古の字書には「煤、煙塵也」と記され、煙とともに立ちこめる塵、火の燃え残りの黒粉を指すと解説される。声符の「某」は「梅」とも通じ、暗く渋い色合いを暗示する音価を持つ。白川静の『字統』では、「煤」は古代の住居文化と密接に関わる字であり、囲炉裏や竈で薪を焚けば必ず生じる副産物として、人々の暮らしに身近な存在であったことを指摘する。さらに、煤を集めて膠と練り合わせて作られる「松煙墨」「油煙墨」は、東アジアの書画文化の根幹を支える素材であり、「煤」字は単なる汚れではなく、文化的価値を秘めた物質を表す字でもあったと論ずる。藤堂明保の『漢字源』では、「煤」の核義を「煙が固まって生じる黒い粉」とし、現代では「煤煙」(公害源としてのすす)、「煤払い」(年末に家屋のすすを払う日本の年中行事)、「煤竹」(煤に燻された古い竹)など、暮らしと文化の語に展開していると整理する。日本では十二月十三日の「煤払い」が新年を迎える清浄の儀礼として根付き、字に季節感が宿る。命名にはほぼ用いられない。
構成要素
火+某(声符)
STROKE ORDER
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MEANINGS
火と煙から生じる黒い微粒。
すす、煤煙、煤払い。
★命名忌避字。すす・汚れを表すため人名には用いられない。
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本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。