◆ 元の意味(古代)
雑色の牛、多様な毛色の犠牲。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
butsu
画数
8画
成り立ち
形声
部首
うし
分類
常用漢字
牛と勿からなり、まだら牛・万物を意味する形声文字。
ORIGIN
「物」は牛を意符、勿(ブツ)を声符とする形声文字である。『説文解字』巻二上に「物は萬物なり。牛は大物たり、天地の數、牽牛に起こる。故に牛に從ひ、勿聲」とあり、許慎は古代の天文・暦法において牛宿(牽牛)を起点とすることから、牛を以て万物の代表とし、「物」を万物の総称とすると説く。白川静『字統』は、勿が雑色の旗を象る字であることに着目し、もと「物」は毛色の雑じった牛、すなわちまだら牛・色のある牛を意味したと説く。白川によれば、犠牲として用いる牛の毛色が祭祀の重要な要素であり、毛色を区別する語として「物」が生まれ、後に色・形を持つあらゆる存在、すなわち万物を指す語に拡張されたという。藤堂明保『漢字源』は、勿を「いろいろ・雑多」の音義をもつ声符とし、牛偏に勿を加えて多種多様な毛色の牛、転じてさまざまな具体的事物を「物」と呼ぶに至ったと解説する。藤堂は「物」が単なる物体だけでなく、「人物」「物事」「事物」のように事象・人を含む包括的な語として機能する経緯を整理する。三家ともに、牛と色彩・多様性の声符からなり、特定の毛色の牛から万物の総称へと展開した字とする点で一致する。命名では、確かな存在感とすべてを抱き受ける包容力の象徴である。
構成要素
牛(意符)+勿(声符)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
雑色の牛、多様な毛色の犠牲。
もの、事物、品物、万物、人物。
★確かな存在感と、多様性を抱きとめる包容力を願う字。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。