◆ 元の意味(古代)
牛を縄で引いて進ませる。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
ken
画数
11画
成り立ち
形声
部首
うし
分類
人名用漢字
牛を縄で引き連れる形からなる、ひくを意味する字。
ORIGIN
「牽」は牛を意符、玄(ゲン・繩の象)を声符を兼ねた要素として加え、さらに冖(おおう・くびき)を含む形声兼会意文字である。『説文解字』巻二上に「牽は引きて前にすすむなり。牛に從ひ、象引牛之縻、玄聲」とあり、許慎は牛の鼻を貫く綱(縻)を象り、これを引いて前へ進ませる動作を意味するとした。白川静『字統』は、上部の冖と玄が牛をつなぐ縄・くびきを象り、これを引いて牛を前進させる形と解する。白川は、卜辞・金文において牛を引き連れて祭場へ赴く所作が「牽」と表記され、犠牲を引き出す祭儀的動作と密接に関わっていたことを指摘する。さらに天文上の星宿「牽牛」、すなわち七夕伝説の彦星にも通じ、農耕と暦法における牛の役割を象徴する字でもある。藤堂明保『漢字源』では、玄が「細く長くつながる」音義の声符であり、それに牛を加えて、長い縄で牛をつないで引くさまを表すとする。藤堂は、物理的に引くことから抽象的に「心を引く」「気をひく」「牽制する」へと意味を拡大する経緯を整理する。三家ともに、縄で牛を引いて進ませる動作を本義とし、引く・導く・連れるの意に展開した字とする点で一致する。命名では用例は少ないが、人や運命を引き寄せ、ともに歩み導く力の象徴として捉えうる字である。
構成要素
玄+冖(縄・くびき)+牛
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
牛を縄で引いて進ませる。
ひく、ひっぱる、引き連れる、牽制する。
★人や運命を引き寄せ、ともに歩む導きの力を願う字。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。