字義と歴史
朝顔(あさがほ)は、現代では昼に咲く蔓性のヒルガオ科のアサガオを指しますが、万葉集の「朝顔」は別の植物——多くの研究で「桔梗(ききょう)」の古名と推定されます。山上憶良の秋の七草の歌(巻八・1538)の末尾に置かれる「朝顔の花」がそれで、現代のアサガオは奈良時代末から平安時代初期に中国経由で渡来した植物のため、万葉時代には日本になかったとされます。桔梗は紫色の星型五弁の花で、秋の野山に咲く控えめだが凛とした花。万葉時代の「朝顔」のイメージは、現代の鮮やかな朝顔よりも、もっと静かで品のある秋の花でした。
出典歌(万葉集 巻8・8-1538番)
萩の花尾花葛花瞿麦の花女郎花また藤袴朝顔の花
MODERN READING
萩・尾花(すすき)・葛・撫子・女郎花・藤袴、そして朝顔(桔梗)の花——秋の七草を列挙した有名な旋頭歌の末尾。万葉時代の「朝顔」は秋の野に咲く桔梗のことで、現代の朝顔とは別の植物。
※ 「朝顔」を桔梗とする説は江戸期の本草学者 貝原益軒以来の定説。他に木槿(むくげ)・昼顔(ひるがお)とする少数説あり。
名付けの参考に
READINGS
あさがお・あさ
適性: 女児名
IMPRESSION
秋の控えめな美しさ・凛とした静謐・伝統的な日本の野花の品。派手な見た目より、内面の品格を大切にする性格を象徴。秋生まれの女児にとくに意義のある名。
NAMING NOTES
「朝顔」全体は 朝(12)+顔(18)=30 画でやや重い。現代名としては「朝(あさ・あさひ)」「顔(がん)」を分けて使う方が一般的。万葉集での「朝顔=桔梗」を物語として伝えると、家族の名づけに古代日本の植物学的な奥行きが加わる。「桔梗(ききょう)」(20 画) も併せて選択肢として検討可能。
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参考文献
- 『万葉集 全訳注原文付(全4巻)』 中西進 (1978) 講談社文庫— 万葉仮名の用法と歌の現代訳・注釈の標準的な底本
- 『万葉集(日本古典文学全集)』 小島憲之・木下正俊・佐竹昭広 校注 (1971) 小学館— 原文・頭注に万葉仮名の音義を詳述
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