◆ 元の意味(古代)
目をくらます欺き、変幻、染糸の色変じ
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
gen
画数
4画
成り立ち
象形
部首
幺(よう・いとがしら)
分類
常用漢字
糸を逆さに引く、目をくらます秘技の字。
ORIGIN
『説文解字』予部に「幻は相詐惑なり。反予に従ふ」とあり、与える(予)を反転した形を以て、ものを与えると見せて取り戻すような欺き・幻惑の所作を表すとする。白川静『字統』は、染色した糸を逆さまに垂らし、染汁から引き上げて色を変じさせる染色工芸の所作に字源を求め、目の前で色が変わるように見える「変幻」の妙を象った会意的指事字と解する。藤堂明保『漢字源』も同系語に「玄」「眩」など目をくらませる字を挙げ、目をかすめて実体を見失わせる視覚現象を原義とする点で一致する。古代中国では幻術・幻人の語が西域の手品師・奇術師を指し、後漢以降の文献にしばしば登場する。仏教伝来後は梵語マーヤー(māyā)の訳語として、現実の不実不虚を示す「如幻」「夢幻」の語が形成され、世のはかなさ、執着の空しさを説く重要な術語となった。日本でも『源氏物語』に「幻」の巻があり、亡き紫の上を慕う光源氏の心象を「まぼろし」と表す。実体なきもの、しかしそこに美と詩情を宿すものとして、東洋的な美意識の象徴ともなった。
構成要素
予を反転した形、または染糸を逆さに引く形
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
目をくらます欺き、変幻、染糸の色変じ
まぼろし、ゆめ、変幻、不思議
夢幻の趣を宿す詩情の字。神秘的・幻想的な印象が強く、人名では稀。芸号・雅号によく用いられる。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。