◆ 元の意味(古代)
辱めを受けて耳まで赤くなる感情、はじらい
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KANJI ETYMOLOGY
chi
画数
10画
成り立ち
形声
部首
心(こころ)
分類
常用漢字
耳が熱くなるほどの自省の心、徳の根を養う羞恥の感覚
ORIGIN
『説文解字』巻十下に「恥、辱なり。心に従い、耳声」とあり、形声字とされる。しかし白川静『字統』は、耳には音符以上の意味があり、人が辱めを受けたとき耳がほてって赤くなる生理現象から、心と耳を組み合わせて「内心が燃えて耳に現れる」感情を象ったと解する。藤堂明保『漢字源』も、耳(ジ)は柔らかく垂れる意を含み、心が萎縮してうなだれる状態を表すとして、「はじる」の義を導く。古来、東洋倫理において恥の感覚は徳の根本とされ、『論語』為政篇に「之を道びくに政を以てし、之を斉ふるに刑を以てすれば、民免れて恥なし。之を道びくに徳を以てし、之を斉ふるに礼を以てすれば、恥ありて且つ格る」とあり、刑罰でなく徳によって恥を知る民を育てることが治世の要諦と説かれる。『孟子』公孫丑篇では「羞悪の心は義の端なり」とされ、恥を感じる心こそ正義の出発点と位置づけられる。『中庸』にも「恥を知るは勇に近し」とあり、自己の不足を認めて改める勇気の源泉とされた。日本では新渡戸稲造『武士道』が恥の文化を世界に紹介し、ルース・ベネディクト『菊と刀』により「恥の文化」として論じられた。命名には用いにくいが、恥を知る人格こそ徳の高さの証とされる東洋的価値観を映す重要な字である。
構成要素
心+耳(声符、赤くほてる)
STROKE ORDER
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MEANINGS
辱めを受けて耳まで赤くなる感情、はじらい
はじる・恥ずかしい・はじ・恥辱
自省の心を持ち、節度を守る人格の象徴
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。