◆ 元の意味(古代)
食べ終わる、満腹して顔を背ける
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
ki
画数
10画
成り立ち
会意
部首
无(なし)
分類
常用漢字
食べ終えて顔を背ける形、満ち足りて「すでに」を示す字
ORIGIN
正字は「旣」。『説文解字』巻五下「旣、小食なり。皀(きゅう)に从ひ旡(き)聲」と注すが、白川静『字統』はこれを誤りとし、「旣」は「皀(食器に盛った食物)」と「旡(食事を終え顔を背ける人)」とを合わせた会意字であると論じる。すなわち食事を終え満腹して器から顔を背ける形を描き、「食べ終わる・終了する」が本義である。これより「すでに・もはや・~し終わった」の助辞義が生じ、漢文の完了相を担う重要語となった。甲骨文・金文にも同形が見え、祭祀の供物が捧げ尽くされる場面で「旣」字が用いられている。藤堂明保『漢字源』は、声系「既・概・慨・廐」が「ぴたりと区切る・ひと区切りつく」核義を共有すると指摘し、「概(おしならす)」「慨(なげく、ひとくくりに思いをいだく)」も同源とする。『詩経』『書経』に頻出し、「既見君子(既に君子に見ゆ)」のごとく完了の助辞として古来定着した。「既往・既存・既成・皆既」など現代熟語も豊富で、「皆既日食」のように天文用語にも用いる。日本では「既往症」「既決」のごとく完了・確定の語として広く用いられ、命名では物事を成し遂げる達成感、満ち足りた充足、確かな基盤を持つ安定感を象る字として時折用いられる。
構成要素
皀(食器)+旡(顔を背ける人)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
食べ終わる、満腹して顔を背ける
すでに。つきる。みなことごとく
成し遂げた満足と確かな基盤を象り、充足と完成の徳を宿す
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。