◆ 元の意味(古代)
口の中に美味を含み味わうこと。あまい。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
kan
画数
5画
成り立ち
指事
部首
あまい
分類
常用漢字
口に含む美味、心にしみる甘美。
ORIGIN
「甘」は「口」の中に「一」を加え、口中に美味なるものを含んでいる状態を示す指事文字である。許慎『説文解字』甘部に「甘、美なり。口に从ひて一を含む。一は道なり」とあり、口の中に何かを含んで味わう様子から「うまい」「あまい」の意を表すとする。「一は道なり」とは、ここでの一は具体的な物ではなく抽象的な「美味そのもの」を指す指事符号であるという解釈である。白川静『字統』は、甘は祭祀において神に捧げる甘美な供物を口に含み味わうことに由来し、神人共食の儀礼的な美味しさが原義であると述べる。そこから人間の感覚における甘味、さらに比喩的に「心地よい」「ここちよくぬくもる」「あまえる」の意が派生した。「五味(酸甘苦辛鹹)」の一つとして甘は中央・脾に配され、五行思想において土徳を象徴する重要な味とされた。藤堂明保『漢字源』は、カンの音が「含(口に入れる)」と同系で、口中に味わいを保持する動作を音義として共有し、また「銜(くわえる)」「函(はこに含む)」とも通じるとする。日本語では「甘い」「甘え」「甘み」「甘露」など、味覚にとどまらず人情の温かみや関係性の親密さを表す豊かな語を生み、命名にも温和な情愛の象徴として用いられる。
構成要素
口 + 一(指事符号)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
口の中に美味を含み味わうこと。あまい。
あまい、おいしい、こころよい、あまえる。
★人を惹きつける優しさと、甘美な徳をたたえる温かさ。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。