◆ 元の意味(古代)
失った財貨を貝=貨幣で埋め合わせ、損失を償うこと。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
bai
画数
15画
成り立ち
形声
部首
かいへん
分類
常用漢字
損失を金銭で償う、賠償の意を持つ字。
ORIGIN
『説文解字』に「賠は、財を以て人に償ふなり。貝に从ひ、咅聲」とあり、許慎は本字を貝(財貨)を意符とし、咅(ホウ・バイ)を声符とする形声字と解する。すなわち失われた財を貝=貨幣によって埋め合わせる行為を表す字である。白川静『字統』は、咅は否(不可)の音を含み、何かを退けて打ち消す意を内に持つとし、賠は損なわれたものを貝=財によって打ち消し中和する、すなわち償うの意に通ずると述べる。さらに白川は古代の盟誓・贖罪儀礼と貝貨の授受との関わりに触れ、賠の語根が単なる経済的弁済を超え、人と人との関係を回復する儀礼的行為に淵源することを指摘する。藤堂明保『漢字源』は咅声の字群(倍・培・剖など)が「ふくらむ・分かれる・付け加える」という共通義をもつとし、賠もまた失われた分に貝=財を「付け加えて」原状に戻すことを本義とすると説く。藤堂はこれを「裂けた所を埋め足す」イメージで捉え、後に金銭的な賠償・弁償・補填一般を意味する語へ拡張したと位置づける。日本では律令期より弁償・賠償の語に用いられ、近代法制下で「損害賠償」の語が定着した。
構成要素
貝(意符)+咅(声符)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
失った財貨を貝=貨幣で埋め合わせ、損失を償うこと。
つぐなう・弁償する・賠償する。
★損失や負担を伴う字義のため、人名には用いない忌避字。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。