◆ 元の意味(古代)
婦人が夫を妬むこと
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
to
画数
8画
成り立ち
形声
部首
女(おんなへん)
分類
常用漢字
胸の内に石を抱える嫉みの字
ORIGIN
『説文解字』には本字「妒」が立てられ、「婦人妬夫を妒と曰ふ。女に従ひ、戸声」とある。後に音符の「戸」が同音の「石」に置き換えられ、「妬」の字形が一般化した。藤堂明保『漢字源』はこれを承け、「石」が「ごつごつと固く重い」感覚を担い、「胸中にしこりのような重い感情を抱くこと」が原義だと説明する。白川静『字統』は「妬」を「女」と「石」の組合せから、「女が胸に石を秘めるごとき凝り固まった怨み」を象徴的に示した字とし、古代の閨怨歌や宮廷文学にしばしば現れることを指摘する。許慎の定義が「夫を妒む婦人」に限定されているのは、漢代における家父長的婚姻制度を背景にしたものであり、後世には男女を問わず「他人の優れたものをねたみ、害そうとする心」一般を指すように意味が拡大した。『戦国策』『史記』には「妬賢嫉能」の語があり、賢能を妬む心が国を傾けると戒められる。和語「ねたむ」「やく」は、火が内に燃えて焦がす感覚を捉えた語で、「焼餅を焼く」の比喩に通ずる。命名にはまず用いられないが、人間の根源的感情を一字に凝縮した字として、心理・倫理を語る場面で重要な役割を担ってきた。
構成要素
女(意符)+石(音符・固く重い)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
婦人が夫を妬むこと
ねたむ。うらやみそねむ
★(命名には用いられない)
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。