◆ 元の意味(古代)
屋根の奥にたどり着く部屋、宗廟の主室
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
shitsu
画数
9画
成り立ち
形声
部首
宀(うかんむり)
分類
常用漢字
屋根の奥にたどり至る、人の住まう内なる安息の間
ORIGIN
『説文解字』第七篇下に「室、實なり。宀に従ひ至声。室・屋皆な至を以て成る」とあり、宀(屋根)を意符、至(シ=矢が地に到り着く形)を声符とする形声文字と説かれる。許慎は「實(みつ)」の義で釈し、家屋の奥にたどり着いて満ち足りる場、すなわち主人の居る奥座敷を本義とする。至は矢が遠くから飛んで地面に達した形であり、目的地に到り至る意を持つ。白川静『字統』では、室は古代の宗廟・宮殿の最も奥に設けられた主室を指し、神霊や祖先を祀る祭祀の中心であるとする。後に転じて家族の住まう内室、さらに妻室・正室の意となった。段玉裁注は「室と屋とは區別すべし。室は内に在るもの、屋は上を覆ふもの」と述べ、屋が建物全体の覆いであるのに対し、室はその内部の部屋・空間を指すと整理する。『漢字源』はシツ声系として「ぴたりと至り止まる」意の語族とし、至・到・致などと同根の関係にあるとする。古典『詩経』周南「桃之夭夭、灼灼其華、之子于帰、宜其室家」は新婦が嫁ぎ先の室家に和する祝婚歌、『論語』先進篇「升堂矣、未入於室也(堂に升れり、未だ室に入らざるなり)」は学問の最奥の境地を「室」に喩えた著名な句である。日本では正室・側室・教室・浴室など、目的を持つ空間を指す語に広く生きる。名前としては「室子(むろこ)」など稀だが、奥深さと安らぎ、家庭の中心としての温かさを象徴する字である。
構成要素
宀(屋根)+至(声符・到り着く)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
屋根の奥にたどり着く部屋、宗廟の主室
へや、むろ、いえ、つま
家庭を大切にし、奥深く落ち着いた人柄
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。