◆ 元の意味(古代)
微かなきざし、危きの先見、微妙の機
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KANJI ETYMOLOGY
ki
画数
12画
成り立ち
会意
部首
幺(よう・いとがしら)
分類
常用漢字
微かな兆しを察する慧眼、機微を見抜く字。
ORIGIN
『説文解字』𢆶部に「幾は微なり、殆なり。𢆶に従ひ戍に従ふ。戍は兵守なり。𢆶にして兵守れば、危きこと也」とあり、二つの幺(細糸=微)と戍(兵)を合わせて、ごく微かな危機の兆しに兵が備えるさま、すなわち「きざし・微妙の機」を表す会意字とする。白川静『字統』は、戍を戈をもつ人の形と解し、目に見えぬ細やかな変化(幺幺)を察知して武備にあたる神経の鋭さを示すと説く。藤堂明保『漢字源』も同系語に「機(からくり)」「畿(都の境界)」「譏(きざしを察してそしる)」を挙げ、わずかなところで物事が動く要となる「機」を表すとする。古典『易経』繋辞伝に「幾は動の微なり、吉凶の先見るる者なり」とあり、聖人は微細な兆しに天意を読み取ることが述べられる。すなわち「幾」は哲学・政治論において、賢者が事象の発端を見抜く知の働きそのものを意味する重要な術語となった。和訓「いく」は数量を問う語に用いられ、「幾日」「幾人」など不定数を示す。これは「きざしの数だけ」「ほぼ近い」の転義に基づく。微を察する深い洞察力と、可能性の豊かさを併せ含む字である。
構成要素
𢆶(細糸二つ=微)+戍(兵守)
STROKE ORDER
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MEANINGS
微かなきざし、危きの先見、微妙の機
いく、ちかい、きざし、いくつ、ほとんど
聡明で機微を見抜く知性、可能性に満ちた未来を願う字。「幾」一字で凛と知的な印象。
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※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。