◆ 元の意味(古代)
心が左右に裂けるような痛み
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KANJI ETYMOLOGY
hi
画数
12画
成り立ち
形声
部首
心(こころ)
分類
常用漢字
心が左右に裂ける情。仏教の慈悲に通じる深い情感の字。
ORIGIN
「悲」は心を意味する「心」と、音符「非(ヒ)」から成る形声文字である。『説文解字』に「痛也。从心非聲」とあり、心が痛むことを意味する字と定義された。許慎は心の傷みを表す代表字としてこの字を挙げている。白川静『字統』では、「非」字を鳥の両翼が左右に開いた象形と解し、「相背く」「割れる」の意があると説く。「悲」はその「非」を声符かつ意符として含み、心が左右に裂ける、引き裂かれるような感情を表すとした。すなわち単なる悲しみではなく、心が二つに分かれ離散する深い哀情を示す字である。藤堂明保『漢字源』も「非」に「左右に分かれる」の含意を認め、「悲」を「胸が張り裂けるような切ない情」と解釈する。仏教漢訳においては梵語「カルナー(karuṇā)」の訳語として「悲」が当てられ、「慈悲」の語が成立した。すなわち「悲」は単なる哀しみを越え、衆生の苦しみを共に感じ抜き救おうとする深い愛の心へと昇華された。日本でも『古今集』『新古今集』の歌枕として、自然や別離に対する繊細な情感の中核語となった。命名において「悲」は通常避けられるが、字源は「人の痛みを我がものとする深い共感力」「慈悲の心」を象徴する尊い字である。
構成要素
非(両翼が背き分かれる象形・音符ヒ)+心
STROKE ORDER
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MEANINGS
心が左右に裂けるような痛み
かなしい。あわれむ。慈悲。
深い共感力、慈悲深さ、繊細な情感(命名には不適)
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本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。