◆ 元の意味(古代)
薄く削った木簡、書写用の板
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
satsu
画数
5画
成り立ち
形声
部首
木(き)
分類
常用漢字
木に乙を加え、薄く削った木簡を示す形声字。記録と信義の象徴。
ORIGIN
『説文解字』巻六に「札、牒也。从木、乙聲」とあり、許慎は「牒なり。木に従い乙声」と説き、木製の薄い書写板を意味する形声字とする。白川静『字統』は「木と乙(おつ)とに従う。木を薄く削った札のことで、文字を書くために用いられた」と述べ、紙が普及する前の古代中国における主要な書写媒体であることを指摘する。藤堂明保『漢字源』では「木+乙(かぎ形にひっかけ取る)」とし、「木をそぎ取って薄板にしたもの」を本義とする。古代中国では竹の札を「簡」、木の札を「牒」または「札」と呼び、これらを綴じて文書としたため「冊・典」の字も生まれた。札は通常長さ一尺前後・幅一寸前後の細長い板で、命令書・書簡・身分証・帳簿などあらゆる公的記録に用いられた。漢代以降は手紙そのものを「手札」と呼び、宋代には紙の流通券「交子」「会子」が登場して紙幣の意も派生した。日本では奈良時代の「木簡」として実物が大量出土しており、平城京・藤原京遺跡から出る木札は当時の行政文書として研究上極めて重要である。さらに神社の「お札」「守札」など神聖な記号としての用法も発達し、「立て札」「名札」「入札」「改札」など現代日本語に深く根付いている。命名では「信義の証となる人」「公の記録に残る人」という意を含むが、用例は稀である。
構成要素
木(意符)+乙(声符・かぎ形に削る)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
薄く削った木簡、書写用の板
ふだ、紙幣、手紙、しるし
信義を記し残す人。誠実な記録と保証の象徴。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。