◆ 元の意味(古代)
禾穂が揺れ動く。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
i
画数
11画
成り立ち
形声
部首
のぎへん
分類
常用漢字
稲が風に揺れ靡く様、転じて場所や状態が移り変わる流動を表す字。
ORIGIN
「移」は形声文字であり、意符の「禾」と音符の「多」から成る。『説文解字』禾部には「移、禾相倚移也。从禾、多聲」と記され、禾の穂が互いに寄り添い揺れ動く様を本義とする。許慎は風に靡く稲穂の柔らかな運動を観察し、そこから「うつる・うつす」の動的意味を導いた。白川静『字統』は、「多」を音符として用い、禾の群生する様の重なりと揺らぎから移動・変遷の意が生じたと説く。白川はさらに、古代の祭祀において稲穂の揺れが神霊の感応を示す兆として読まれた可能性に言及し、自然観察と霊性が字義の根に潜むと論じる。藤堂明保『漢字源』は「多」を「ゆらゆらとゆれる」の意と注し、「移」を「禾の穂が左右に揺れて位置を変える、転じて場所を変える・心が変わる」と定義する。藤堂は「移動」「推移」「移植」「変移」など熟語を例示し、空間的移動から時間的変遷、心理的変化まで幅広く展開する語であると述べる。日本では文書を別の役所へ送る公文書「移文(いぶん)」の語にも残る。命名では新天地への前進、柔軟な適応力を願って用いられる。
構成要素
禾+多
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
禾穂が揺れ動く。
うつる。位置・状態を変える。
★柔軟に環境へ適応し前進する人。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。