◆ 元の意味(古代)
犬がひそかに人を追う。声を出さない。
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
moku
画数
16画
成り立ち
形声
部首
くろ
分類
—
黙の旧字。静寂の犬。
ORIGIN
默は『黙』の旧字体(康熙字典体)にあたる文字である。『説文解字』巻十・犬部に「默、犬暫逐人也。从犬黑聲」とあり、許慎は本義を「犬がにわかに人を追いかけること」と解した。声符たる『黑』が音モクを担い、意符たる『犬』が動作主を示す典型的な形声字である。白川静『字統』は、犬が獲物に音を立てず迫る様を捉え、そこから「声を発しない」「ひそかである」という意が派生したと説く。藤堂明保『漢字源』もまた声符『黑』を「ふさぐ・閉じる」音象徴に連ね、口を閉じて沈黙する意へと展開したと整理している。古代において默は、神事における静粛、君臣の礼における慎みの語として用いられ、『論語』『荘子』にも沈思黙考の文脈で頻出した。日本では戦後の当用漢字告示に際し『黙』に整理されたが、默は戸籍・古典籍において依然として用いられ、人名用漢字許容字体としても認められている。墨色を宿した『黑』を含む点で、書の世界では尊ばれる字形である。
構成要素
犬+黑(音符)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
犬がひそかに人を追う。声を出さない。
だまる。沈黙する。静寂。
★寡黙な思慮深さと内なる強さ。言葉少なに芯を持つ人へ。
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。