◆ 元の意味(古代)
あんずの果実を結ぶ木
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KANJI ETYMOLOGY
kyou
画数
7画
成り立ち
会意
部首
木(き)
分類
人名用漢字
あんずの実を結ぶ春の木。董奉の杏林の故事に連なる慈愛の字。
ORIGIN
『説文解字』木部に「杏は果なり。木に従ひ、可の省に従ふ」と見え、許慎は木と「可」の省略形を組み合わせた会意字と解した。下部の「口」を果実の象形と見る説もあり、白川静『字統』では木に成る丸い果実を示した会意字とし、上古の中国華北で広く栽培された杏(あんず)を指す原字と位置付ける。藤堂明保『漢字源』はK系の音を持つ「向」「享」と通じる響きを残し、口を開いて果汁を含む形を取ると注する。古典での用例は『詩経』の「彼の杏に隰る」、『荘子』漁父篇の「孔子杏壇に休む」が著名で、孔子が弟子に教えを説いた高台「杏壇」は学問の象徴語として後世に定着した。さらに三国呉の名医董奉は治療代を取らず、代わりに患者に杏を植えさせ、数年で杏林を成したという『神仙伝』の故事から、「杏林」は医道・仁術の代名詞となった。日本へは奈良期に渡来し、『本草和名』『和名類聚抄』に「阿牟須」として記録される。バラ科の落葉小高木で、桃より早く淡紅の花を咲かせ、初夏に芳しい黄橙の実を結ぶ姿は、和歌や俳句にも好んで詠まれた。
構成要素
木+可の省(または口=果実の象形)
STROKE ORDER
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MEANINGS
あんずの果実を結ぶ木
あんず/杏林(医の道)/杏壇(学問)
春に花咲き実を結ぶ姿から、愛らしさと豊穣、慈しみ深い品格を宿す。董奉の杏林に通う仁の徳も連想させる。
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※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
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現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。