◆ 元の意味(古代)
水を渡る、水中に身を隠す、深く潜む
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
sen
画数
15画
成り立ち
形声
部首
氵(さんずい)
分類
常用漢字
水底に潜む静謐。表に出さぬ深き力の字
ORIGIN
『説文解字』水部に「潜は涉(わた)るなり。一に曰く藏(かく)るるなり。一に曰く漢の名なり。水に従い朁(さん)声」とあり、本来は水を渡る意と、水中に身を隠す意の二義を併せ持つ字であった。声符「朁」はかつて隠す・忍ばせるという意を含む字であり、これに水(氵)が加わることで、表面の波の下に深く沈み潜むさまを描く。白川静『字統』は、古代中国における巫祝の儀礼において、神霊を水中に隠し祀る習俗があり、「潜」はその秘匿された聖なる力を表す字であったと指摘する。すなわち単に身を隠すのではなく、深く秘められた霊力・才能・徳性が時を待って発現する、という宗教的・哲学的含意を帯びていた。『易経』乾卦初九の「潜龍勿用(潜龍用うる勿れ)」はこの字義の極致であり、未だ世に出ぬ偉才が地下深くに伏して時機を待つ姿を象徴する。藤堂明保『漢字源』は声系「朁・僭・蠶」を同源とし、いずれも「内側に深く忍び入る」語感を持つと分析する。名前に用いるとき、この字は表面の華やかさを誇らず内に深い力を蓄える奥ゆかしさ、忍耐の中で大成を期す胆力、静謐で思慮深い人格を表す。
構成要素
氵(水)+ 朁(隠す意の声符)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
水を渡る、水中に身を隠す、深く潜む
もぐる、ひそむ、隠れる、深く沈む、内に秘める
内に深い力を蓄える奥ゆかしさ、潜龍のごとき大器、思慮深く静謐な人格、時を待つ胆力
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。