◆ 元の意味(古代)
心に二つの思いが併存して安らがない疑念、いやがる感情
読み込み中...
KANJI ETYMOLOGY
ken
画数
13画
成り立ち
形声
部首
女(おんなへん)
分類
常用漢字
女と兼から成り、心に二つの思いが交差する疑念と忌避を表す字
ORIGIN
『説文解字』巻十二に「嫌は安んぜざるなり。一に曰く、疑なり。女に従ひ兼聲」とあり、許慎は嫌の本義を「心が安らがず疑う」「ふたごころを抱く」と説く。声符の「兼」は、手で二本の禾(いね)を併せ持つ形の会意字で、「あわせる・かねる・両方を持つ」の義を含む。白川静『字統』は、兼が「二つを併せる」意であることから、女+兼で「心に二つの思いを併せ持ち、はっきり定まらない疑心」を表すとする。古代中国では女性の心の機微、特に好悪が定まりがたい複雑な感情を嫌の字に託した。藤堂明保『漢字源』は「兼(二つを兼ね合わせる)+女」の形声で、相反する感情が併存して心が落ち着かないさま、すなわち疑念・嫌悪を本義とし、転じて「きらう・いやがる」の義に展開したと解する。『漢書』『後漢書』などには「嫌疑」「嫌惡」の語が頻出し、政治・人間関係の機微を表す語として広く用いられた。「嫌悪」「嫌疑」「機嫌」など、現代日本語にも豊かな熟語が伝わる。特に「機嫌」は仏教語「譏嫌(きげん)」に由来し、人の心の状態を表す日常語として定着した。命名にはほぼ用いられないが、字義の中に「物事を見極める繊細な感受性」「二つの選択を慎重に量る思慮」を読み取ることもできる字である。
構成要素
女(おんな)+兼(二つを併せ持つ)
STROKE ORDER
▶ 再生で一画ずつ確認できます
書き順データを読み込み中…
MEANINGS
心に二つの思いが併存して安らがない疑念、いやがる感情
きらう・いやがる・嫌悪・嫌疑
★命名には用いず。物事を慎重に見極める思慮深さを示す字
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。