◆ 元の意味(古代)
幾重にも積み重なって募る嫌悪の感情
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KANJI ETYMOLOGY
zou
画数
14画
成り立ち
形声
部首
心(こころ)
分類
常用漢字
幾重にも心の中で募る嫌悪を、層をなす感情として表す字。
ORIGIN
『說文解字』に「憎は惡なり。心に从ひ、曾聲」とあり、心の中に湧く嫌悪を本義とする形声字である。声符「曾」は甑(こしき・蒸し器)を象り、湯気が層をなして立ちのぼる様から「重ねる」「幾度も」の意を派生させた字で、ここでは嫌悪の感情が一度きりではなく繰り返し心に積み重なってゆく様を示唆する。白川静『字統』は、曾の声を借りつつも、感情が「増す」ことと通底する意味を含むと指摘し、嫌悪が時を経るほどに重く厚みを増す心理を字形が体現するとみる。藤堂明保『漢字源』は「ソウ・ゾウ」系の語族に属し、「重なってかさむ」中核義から、心に嫌な思いがいくつも積もって去らない状態を意味すると説く。『論語』里仁篇には「唯仁者のみ能く人を好み能く人を悪(にく)む」とあり、ここでの「悪」と「憎」は近似する。儒教思想では、憎は単なる激情ではなく、不義不正に対して下される倫理的判断としての側面も持つ。日本では「憎悪」「愛憎」「憎しみ」と用いられ、また「憎い演出」のように相手の巧みさへの賛嘆を含む反語的用法もあり、感情の機微を表す重要な字として機能してきた。
構成要素
忄(心)+ 曾(声符・かさねる)
STROKE ORDER
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MEANINGS
幾重にも積み重なって募る嫌悪の感情
にくむ、きらう、いやがる、にくらしい
命名にはまず用いない字(負の感情字のため避ける)
※ 由来事典に収録済みは由来ページへ、未収録は書き順ページへ
本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。