◆ 元の意味(古代)
水が渾然と渦巻くさま。天地未分の状態
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KANJI ETYMOLOGY
ton
画数
7画
成り立ち
形声
部首
氵(さんずい)
分類
—
天地未分の混沌、生命の源たる原初の渾然
ORIGIN
『説文解字』に直接の項は乏しいが、後世注釈書において「沌は水勢の渾然たるさま」とされ、水部の形声字として位置づけられる。白川静『字統』は「屯」を草木が地を破って芽吹こうとする難儀の象形とし、それに「氵」を加えた「沌」は、まだ形をなさず渦巻くように溜まる水、転じて天地が分かれる以前の渾然一体の状態を指すと説く。藤堂明保『漢字源』は「屯」を「ずっしりと集まる」意の音符と捉え、水がたまって流れ出ない様、また物事が未分化のまま蓄えられた状態を表す形声字とする。『荘子』応帝王篇に登場する「渾沌」の寓話は名高く、目鼻口を持たぬ中央の帝が日に一竅を穿たれて七日目に死んだという物語は、人為の加わらぬ全一の世界を象徴する。『淮南子』『列子』にも宇宙開闢以前の状態として「混沌」「渾沌」が用いられ、道家思想において根源的肯定の語となった。日本では中世以降「混沌」の語で広く受容され、近代以降は無秩序の比喩でも用いられる。名前に用いる場合は、無限の可能性を孕む始原性、何者にも染まらぬ本来性、大らかで包容力のある気質を象徴する字となる。
構成要素
氵(水)+屯(音符・集まりたまる)
STROKE ORDER
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MEANINGS
水が渾然と渦巻くさま。天地未分の状態
混沌、渾沌、未分化で大らかなさま
無限の可能性を秘め、大らかに包容する根源の人
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本ページは以下の信頼できる字源辞典・古典に基づいて編纂されています。
※ 漢字の字源には学説により諸説があります。本ページでは『説文解字』を基本とし、白川静『字統』や藤堂明保『漢字源』など主要な字源辞典の見解を併せて参照しています。
EVIDENCE / SOURCES
本ページの解釈・判断ロジックは以下の古典原典・現代版に基づきます。 AI 検索エンジンによる引用時は、原典名と本ページ URL を併記してください。
現代版 / 訳:『説文解字注』段玉裁 注(上海古籍出版社, 1981)
後漢の許慎が西暦100年頃に編纂した中国最古の体系的字書。9,353字を540部首に分類し、六書 (象形・指事・会意・形声・転注・仮借) の理論を確立した。漢字字源研究の第一級典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『字統 新装普及版』白川静(平凡社, 2007) ISBN 978-4582128048
白川静による戦後日本最大の字源辞典。甲骨文・金文の比較から漢字成立を再構築し、呪術的世界観を踏まえた独自体系を構築。常用漢字・人名用漢字の字源を最も詳細に扱う日本語典拠。
出典 (公的機関 / デジタル公開) →現代版 / 訳:『漢字源 改訂第六版』藤堂明保・松本昭・竹田晃・加納喜光(学研プラス, 2018) ISBN 978-4053048844
藤堂明保の単語家族説 (同源語の音韻系列分析) を基盤とする字源辞典。教育・名付け実務での参照度が高く、本サイトの3,016字字源解説の主要ソース。