珍しい苗字・難読苗字 一覧
日本には約 30 万種類の苗字があるといわれ、その中には全国でも数百人規模の珍しい苗字や、初見では読めない難読苗字が数多くあります。 このページでは、由来を出典で確認できる希少姓を厳選し、 読み方・推計人数・由来とともに編集部が整理しました。
※ 人数・順位は公開資料に基づく推計値で、調査手法・年により変動します(諸説あります)。
「珍しい苗字」とは
一般に「珍しい苗字」とは、全国の保有者が少ない希少姓と、 読み方が難しい難読姓の両方を指すことが多いとされています。 成り立ちには、古い地形語・擬音語への当て字、古代氏族名の名残、地域固有の地名に由来するものなど、 さまざまな系統があると考えられています。
本ページでは、由来を 太田亮『姓氏家系大辞典』・丹羽基二『日本苗字大辞典』などの文献で確認できる姓に絞って紹介しています。 「珍しさ」を恣意的に作り出さず、出典のある希少姓のみを掲載する方針です。
- 青天目なばため/あおてんもく全国 約 350 人(推定・少数姓)分類: 地形姓主な発祥地: 出羽国・陸奥国(現・山形県・宮城県・福島県)
「青天目」は東北地方を中心とする難読・少数姓で、「なばため」と訓じる独特の読みが特徴である。語源には複数の説があり、地形語の宛字とする説と、菜種畑(なたねため)の転訛とする説などが伝えられる。
- 五十川いそかわ/いがわ全国 約 350 人(推定・少数姓)分類: 地形姓主な発祥地: 越前国・近江国(現・福井県・滋賀県)
「五十川」は越前国・近江国(現・福井県・滋賀県)に由来する地形姓・地名姓とされ、北陸〜近畿に分布する難読・少数姓である。「五十(い)」は古語で「数多くの」を表す接頭語で、複数の支流が合流する川の景観に由来したと伝えられる。
- 千々石ちぢわ/ちぢいわ全国 約 450 人(推定・少数姓)分類: 地形姓主な発祥地: 肥前国高来郡千々石(現・長崎県雲仙市千々石町)
「千々石」は肥前国高来郡千々石(現・長崎県雲仙市千々石町)に由来する地形姓とされ、橘湾(千々石湾)に面した古来の海辺の里を発祥とする。天正遣欧少年使節の一員・千々石ミゲル(1569 頃-1633 頃)を輩出した家系として歴史にその名を残す難読姓である。
- 仲村渠なかんだかり/なかむらがり全国 約 500 人(推定・少数姓)分類: 外来姓主な発祥地: 琉球王国・沖縄島南部(現・沖縄県南城市・与那原町周辺)
「仲村渠」は沖縄県を代表する難読姓のひとつで、琉球王国期の村落名「仲村渠(なかんだかり)」を起源とすると伝えられる。沖縄島南部の旧玉城間切(たまぐすくまぎり、現・沖縄県南城市玉城仲村渠)に由来する地名姓で、琉球独自の発音と漢字表記の組み合わせが特徴とされる。
- 西園寺さいおんじ全国 約 800 人(推定・少数姓)分類: 藤原系主な発祥地: 山城国葛野郡北山(現・京都市北区・右京区周辺)
「西園寺」は藤原氏北家閑院流の支流で、京都北山に営まれた山荘「西園寺」を家号としたと伝えられる清華家・公家の名門姓である。鎌倉〜江戸期を通じて内大臣・太政大臣を輩出し、明治以降は元老・西園寺公望(さいおんじ きんもち)を輩出した家系として知られる。
- 五百城いおき/いおぎ全国 約 900 人(推定・少数姓)分類: 地形姓主な発祥地: 美作国・備前国(現・岡山県)/近畿地方
「五百城」は古代の城柵・要害に由来するとされる難読・少数姓で、岡山県を中心に近畿地方にも分布する。「五百(いお)」は「多くの」を意味する古語で、複数の城・砦が連なった地形を指したと伝えられる。
- 百目鬼どうめき/どめき/ももめき全国 約 830 人(推定・少数姓)分類: 地形姓主な発祥地: 常陸国(現・茨城県)/下野国宇都宮(現・栃木県宇都宮市塙田)
「百目鬼」は難読・希少姓の代表格で、もとは流水や車馬が立てる轟音「どうめき」を写した古い地形語に由来する。下野国宇都宮(現・栃木県宇都宮市)に伝わる鬼退治伝承と結びつき、当て字として「百目鬼」の三字が定着したとされる。茨城・栃木の旧常陸・下野両国を中心に分布する。
- 八月朔日ほづみ/ほずみ/はっさく全国 約 1,100 人(推定・少数姓)分類: その他主な発祥地: 陸奥国(現・福島県・宮城県)/下野国(現・栃木県)
「八月朔日」は旧暦 8 月 1 日(八朔/はっさく)の節句に由来するとされる難読姓で、稲穂の初穂を贈り合う「八朔」の風習と結びつけて「ほづみ(穂積)」と訓じる珍しい暦姓・節句姓とされる。福島県・栃木県を中心に少数が分布する。
- 毛受めんじょ/めんじゅ/めんじゅう全国 約 1,100 人(推定・少数姓)分類: 氏族姓主な発祥地: 尾張国(現・愛知県西部)/旧毛野国(現・群馬・栃木両県)
「毛受」は古代の毛野国(けぬのくに、現・群馬・栃木両県)に勢力を張った毛野氏の遠い末裔とする伝承が伝わる氏族姓とされる。戦国期には尾張国で柴田勝家の家臣として仕えた毛受家照(もうじゅ・いえてる)の名が知られ、現代では愛知県を中心に少数が分布する難読姓である。
- 虫明むしあけ/むしあき全国 約 1,500 人(推定・少数姓)分類: 地形姓主な発祥地: 備前国邑久郡虫明(現・岡山県瀬戸内市邑久町虫明)
「虫明」は岡山県瀬戸内市の旧地名「虫明(むしあげ)」を発祥地とする難読・少数姓とされる。瀬戸内海に面した港町・虫明湾沿岸を本拠とした家が地名を姓として称したと伝えられ、現代でも岡山県備前地域に分布が集中する。
- 土師はじ/はぜ/はせ/どし全国 約 1,800 人(推定・少数姓)分類: 氏族姓主な発祥地: 大和国・和泉国・河内国(現・奈良県・大阪府)
「土師」は古代日本で埴輪の製作と古墳築造・葬送儀礼を司ったとされる土師氏(はじうじ)に由来する古代氏族姓で、出雲の英雄・野見宿禰(のみのすくね)を祖と『日本書紀』に伝えられる。後世に菅原氏・大江氏・秋篠氏の三家に分流したとされ、菅原道真の遠祖としても知られる。
- 柘植つげ/つけ/つむ/つばめ全国 約 1.7 万人(推定)分類: 地形姓主な発祥地: 伊賀国阿拝郡柘植郷(現・三重県伊賀市柘植町周辺)
「柘植」は伊賀国阿拝郡柘植郷(現・三重県伊賀市柘植町)に由来する地形姓とされる。古来「柘の木(つみ・つげ/クワ科の落葉樹)」が群生した山間の里に由来し、中世には伊賀国の交通の要衝として知られ、近世には忍びの里・伊賀流の拠点のひとつにも数えられたと伝えられる。
- 都築つづき/つつき全国 約 6.3 万人(推定)分類: 地形姓主な発祥地: 武蔵国都筑郡(現・神奈川県横浜市都筑区・緑区周辺)
「都築」は武蔵国都筑郡(つづきぐん、現・神奈川県横浜市都筑区周辺)に由来する地形姓・地名姓とされる。中世には武蔵七党の一・横山党や猪俣党に連なる在地武士団・都築氏(都筑氏)が活動したと伝えられ、関東を中心に全国に広く分布する苗字である。
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参考文献・出典
- ・日本苗字大辞典、丹羽 基二、芳文館、1996
- ・新撰姓氏録、万多親王 ほか、(古典)、815(弘仁6年)
- ・住民基本台帳人口要覧、総務省統計局・e-Stat リンク
- ・名字由来net、リクルート社 リンク
- ・名字由来net「青天目」、リクルート社 リンク
- ・東北難読姓事典、(地域研究資料)
- ・姓氏家系大辞典、太田 亮、姓氏家系大辞典刊行会(後に角川書店復刊)、1934-1936
- ・角川日本地名大辞典 18 福井県、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1989
- ・角川日本地名大辞典 25 滋賀県、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1979
- ・名字由来net「五十川」、リクルート社 リンク
- ・角川日本地名大辞典 42 長崎県、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1987
- ・天正遣欧使節記、デ・サンデ ほか、(古典・ラテン語原書)、1590
- ・雲仙市史、雲仙市史編さん委員会 編、雲仙市
- ・沖縄大百科事典、沖縄大百科事典刊行事務局 編、沖縄タイムス社、1983
- ・琉球家譜(系図座関係文書)、沖縄県立図書館 ほか所蔵
- ・南城市史、南城市史編さん委員会 編、南城市
- ・名字由来net「仲村渠」、リクルート社 リンク
- ・尊卑分脈、洞院公定 ほか 編、(古典系譜書)、14 世紀末
- ・公卿補任、(古典職員録)
- ・華族類別譜、華族会館 ほか、明治期
- ・古事記、712(和銅5年)
- ・日本書紀、720(養老4年)
- ・名字由来net「五百城」、リクルート社 リンク
- ・宇都宮の民話、宇都宮市教育委員会 編、宇都宮市教育委員会、1983
- ・妖怪事典、村上 健司、毎日新聞社、2005
- ・Wikipedia「百目鬼」、Wikipedia 日本語版 リンク
- ・日本歳時記、貝原 益軒(編)、(古典)、1688(元禄元年)
- ・日本民俗大辞典、福田アジオ ほか 編、吉川弘文館、1999-2000
- ・信長公記、太田 牛一、(古典軍記物)、16世紀末〜17世紀初
- ・角川日本姓氏歴史人物大辞典 23 愛知県、角川日本姓氏歴史人物大辞典編纂委員会 編、角川書店、1991
- ・角川日本地名大辞典 33 岡山県、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1989
- ・瀬戸内市史、瀬戸内市史編さん委員会 編、瀬戸内市
- ・続日本紀、菅野真道 ほか 編、(古典正史)、797(延暦16年)
- ・道明寺縁起、道明寺(大阪府藤井寺市)
- ・角川日本地名大辞典 27 大阪府、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1983
- ・角川日本地名大辞典 24 三重県、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1983
- ・伊賀市史、伊賀市史編さん委員会 編、伊賀市
- ・名字由来net「柘植」、リクルート社 リンク
- ・角川日本地名大辞典 14 神奈川県、角川日本地名大辞典編纂委員会 編、角川書店、1984
- ・武蔵七党系図、(中世系譜書)